1行取引は命取り

私のところに、N社長がやってきた。

N社長は、40代の男性で親の代から続いている塗装業で、
とてもがんばっている方だ。

法人化して3年が経つが、事業がようやく軌道に乗り出して
きたところで、案件受注のために資金が必要になった。

「古内さん、お久しぶりです。」

「N社長、こちらこそお久しぶりです。」

「古内さん、今日はご相談があって訪問しました。」

「N社長、どんな相談ですか。」

「実は、大きめの工事の話しがあるのですが、私のところ
だけでは工事が回せず外注が必要なのと、材料もそれなりに
必要なので受注するのに資金が足りないんです。」

「N社長、資金はどうしようと思っていましたか。」

「周りの人に聞いたら融資を受けたらいいと言われたの
ですが、どうしていいのかわからず古内さんに相談に
来たのです。」

「N社長、融資の手続きは私と一緒に進めていきましょう。」

「古内さん、ありがとうございます。」

「N社長、融資の手続きをするにあたって聞きたいのですが、
会社で取引している金融機関はどこですか。」

「T銀行です。」

「N社長、T銀行以外にはありますか。」

「いいえ、ありません。」

「N社長、取引する金融機関は1行だけだと命取りになるので
別の金融機関とも取引をしてください。」

「わかりました。でもなんで取引する金融機関を増やす
必要があるのですか。」

「N社長、それはリスクヘッジになるからです。T銀行しか
取引が無ければ融資はT銀行からしか受けられません。
しかし、別の金融機関とも取引をしていれば、そこからも
融資を受けられるのです。」

「古内さん、確かにそのとおりですね。」

「N社長、他にも融資条件の交渉ができます。また、1行だけ
では融資金額を増やせない時に、取引している金融機関同士で
協力して融資をしてもらうこともできます。」

「そんなこともできるのですね。」

「N社長、複数の金融機関と取引をすると色々なメリットがあります。」

「古内さん、よくわかりました。」

 

今回もお読みいただきありがとうございます。

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