今週のみやちゅう5

今回は、うちのドライバーたちの無事故・無違反に向けた取り組みを紹介したいと思います。
「プロドライバー」という免許証で生計を立てているわけですから、無事故・無違反は当然です。そしてISOのルールがありますから「無トラブル」もそこに加わります。
これは会社の中だけでなく、1日24時間が基準になります。しかもプライベートの運転も含めて「4000日達成」を目指しています。ちなみに4000日を達成するまでには11年かかります。
11年間1度も違反で捕まらず、事故もせず、トラブルも起こさなかった社員は18人います。そのうちの1人に、「今度の新人研修で、達成の秘訣を話してやってくれ」と頼みました。
すると彼は、「秘訣は二つある」と言いました。
一つ目は「携帯電話を手で取らない」こと。話す必要があるときは、ちゃんとイヤホンを用意した状態で電話を受ける。
もう一つが「一時停止は必ず止まる」でした。その一時停止の説明がすごかったんです。
「並の一時停止ちゃうぞ。厚木インターを上がって国道から高速道路に合流する場所、あそこでトラックが止まったのを見たことないやろう。本当は一時停止の標識があるんだが、ちゃんと止まるトラックは99.9%ない。でも、俺はあそこで必ず止まるんや」と。
私は何も考えず「それは単なる自慢じゃないか(笑)」と突っ込んだんですが、彼は言うんです。
「いや社長、聞いてくれ。みんなが止まらん一時停止やから、後続車は『こいつも止まらんだろう』と思ってスピードを落とさずについてくる。そこで急に止まったら絶対に後ろからぶつけられて事故になるやろ。そうなると余計周りに迷惑をかける。だから何回も小刻みにブレーキを踏んで『止まりますよ』と後続車にお知らせして、最終的にきちんと止まる。そして、左右をしっかり確認してスタートする。俺はそこまで徹底しているんだ」と。
彼はそうやって自分としっかり約束をして、それを守り通して4000日を達成していたのです。
新宮運送のドライバーは、「あんたのとこの車の後ろについとったら、会社の出勤時間に間に合わん」という「苦情」を言われることが多いです。でも私はこの苦情を誇りに思っています。それは、むやみにスピードを出さず安全運転に徹していることの証ですから。
創業から50年を超えましたが、社員の起こした死亡事故はいまだにゼロなんですよ。
私は、右肩上がりを目指して懸命に上を見ながら努力することも立派だと思いますが、下を向いて自分の足元を固めていく努力の仕方も大切ではないかと思います。
私はこれを「根を伸ばす」と言っています。自分で決めた方向に自分自身がどう努力できているかということです。
根は見えません。見えないところで答えを出せるのは自分自身しかいません。自分の中で約束したことをはっきりさせながら、そこに向かって人知れず懸命に努力を重ねていく。その中で自分の仕事に対する答えも生まれてくるように思います。
人の見えないところでいかに懸命に努力できるか、それが人の価値を作っているように思います。私もそのようになれるよう少しづつ進んでいきたいと思います。
(出典:みやざき中央新聞)

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