今週のみやちゅう1

Aさんの妹に大学院生の息子B君がいました。B君は「通学時間も勉強に充てたい」との理由で家を離れて下宿をしていました。
ある日、B君は雨の中出かけていたところトラックに突っ込まれて事故に遭ってしまいました。Aさんの妹は何度もAさんに電話をかけてきました。Aさんは加害者に対して怒りの気持ちでいっぱいでした。
幸運なことにB君は一命を取り留めました。数日後、Aさんが妹と病室にいると、加害者の人が警察の人とやってきました。その人の態度が横柄に見えて、Aさんは胸ぐらを掴んでやろうと歩み寄りました。
その時、妹さんがその人にこう言ったのです。「息子の命を助けてくださってありがとうございました。」と。
そして、「事故を起こしたあなたもつらかったでしょう。でもすぐに救急車を呼んでくれたおかげで息子は一命を取り留めることができました」と言いました。
その瞬間、それまでふんぞり返っていた加害者が床に崩れ落ち、声を上げて泣いたのです。そして何度も「申し訳ありませんでした」と謝ったそうです。
この「ありがとうございました」という一言はその場の雰囲気を一変させました。するとB君がこう言ったのです。
「この事故は自分にとって必要な経験だったと思う。いただいた命を大切に使っていきたい」と。
妹さんが本当にB君のことを思っていたからこそ、「ありがとうございました」という一言が出てきたのだと思います。
こういう場でそのような言葉を言うことができることは、本当に素晴らしいと思います。それと同時に言葉の大切さを改めて考えさせてくれたエピソードです。
出典:みやざき中央新聞

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